オフィスのトイレ(化粧室)が仕事のモチベーションを左右する!?
オフィスについて検討するとき、トイレ(化粧室)についてどの程度重視しているでしょうか?
オフィス移転や新設の際に、実際に執務を行う場所以外の部分については、あまり深く考えられることがないケースもありますが、実はトイレは仕事のモチベーションを左右することもあるほど重要な場所なのです。
トイレは用を足すという目的や化粧直し、歯磨きで利用するほか、会社において数少ない、他者とのコミュニケーションを完全にシャットアウトできる空間でもあります。
ここでは職場で快適に過ごすための、トイレの欠かせない機能と役割について説明します。
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女性は男性よりも快適さへの関心が高い
働く女性にとって、トイレ(化粧室)の環境は非常に重要なものです。 例えば、女性の中には、「トイレが和式なことが苦痛で、会社をやめたい」と感じる人や、「男女別でないのが耐えられない」という人もいると言います。
このように、女性がトイレを重要視する理由としては、化粧直しや歯磨きなど、男性よりもトイレを利用する機会が多く、一般に男性よりも女性の方が綺麗好きであることが考えられます(下表参照)。だからこそ、毎日通うことになる職場のトイレが不快では、大きなストレスになるのです。
オフィス契約を結ぶ際は、男性目線だけでなく、女性目線でも、トイレに問題がないかどうか確認しておきましょう。
ちなみに、『株式会社日本リサーチセンター』が行なった「家の掃除についての調査」によると、下の表の通り、男女の差によって水回りの清掃に対する意識の差がはっきりと現れています。
このアンケートで男女差が大きかったトップ3が見事に水回りになっています。「浴槽・お風呂場」を除き、「トイレ」、「キッチン」、「洗面所」に関しては、掃除に対する意識が男女間で大きく違うようです。
問1 あなたは、家の掃除を、どのくらいの頻度で行っていますか。以下にあげる場所やモノについて、あなたご自身がそうじする頻度を、それぞれお知らせください。 (各単数回答 n=1,200 男性=592 女性=608)
% | 浴槽・ お風呂場 |
居間・ダイニング・リビングダイニング | トイレ | キッチン ・台所 |
洋室の部屋 | 洗面所 | 玄関・ 玄関まわり |
廊下・階段 | 和室の部屋 | 庭・バルコニー・ベランダ |
全体 | 69.1 | 63.9 | 63.3 | 62.8 | 61.6 | 61.3 | 60.1 | 57.8 | 54.2 | 44.3 |
男性 | 50.2 | 41.4 | 39.0 | 39.0 | 39.0 | 37.2 | 36.7 | 34.1 | 34.8 | 29.1 |
女性 | 87.5 | 85.9 | 87.0 | 86.0 | 83.6 | 84.9 | 82.9 | 80.8 | 73.0 | 59.0 |
男女差 | 37.3 | 44.5 | 48.0 | 47.0 | 44.5 | 47.7 | 46.2 | 46.6 | 38.2 | 30.0 |

社員のストレスにならないトイレとは
オフィスは仕事をする場ですが、それと同時に1日の大部分を過ごす場所でもありますから、社員がストレスを感じることなく快適に過ごせる環境を整えることが必要です。
そのためには、トイレ(化粧室)の環境についても留意しておかなければいけません。社員にストレスを感じさせないトイレの条件として、次のようなことが挙げられます。
- 清潔
小まめに掃除され、清潔に保たれていることが大切です。不潔なトイレは、見た目だけでなく、悪臭などの問題も引き起こします。特に女性については、ストレスの要因となる傾向が強いことは前出のアンケート結果からも一目瞭然です。 - 数が適切
社員数に対してトイレの数が少ないと、なかなか空かずにストレスになったり、休憩時間に行っても使えなかったりして不便でしょう。仕事の手を長くとめないためにも、トイレと洗面台の数は十分に用意された環境が必要です。 - 男女別である
たとえ小まめに掃除されていたとしても、家族以外の男性が利用したトイレを使うのに抵抗がある女性もいます。化粧直しなどの問題もあるため、トイレは男女別に用意したいところです。また、女性ほどではありませんが、男性側にも女性と共用であることを嫌がる人もいます。 - 音が外に漏れない工夫がされている
流水音などを流せるシステムを設置して、音漏れに配慮できるとベターです。 - 執務エリアの外にある
執務エリア内にトイレがあると、落ち着いて用を足せないという方もいます。トイレは、扉を隔てた外にあるというのが好ましい配置です。
なお、事務所の衛生基準を定めた厚生労働省令『事務所衛生基準規則』においては、トイレの数について以下のように定められています。
第十七条 事業者は、次に定めるところにより便所を設けなければならない。
一 男性用と女性用に区別すること。
二 男性用大便所の便房の数は、同時に就業する男性労働者六十人以内ごとに一個以上とすること。
三 男性用小便所の箇所数は、同時に就業する男性労働者三十人以内ごとに一個以上とすること。
四 女性用便所の便房の数は、同時に就業する女性労働者二十人以内ごとに一個以上とすること。
オフィス空間のコンセプトも、デザインも、機能性も、予算もご相談ください。
リラックス、リフレッシュ空間としてのトイレ
執務中は個室ないしは集中ブースのような環境を与えられていない限り、ワークスペースにプライベートがありません。つまりトイレ(化粧室)はオフィスワーカーにとっての数少ない一人になることができるプライベートスペースなのです。
不潔なトイレであれば、そんな空間からはいち早く抜け出したいと思うのも当たり前ですので、リラックスなどしようもありません。
また、お化粧直しが必要な女性にとっては、そうした行為を十分に行えるスペースがあることが、オフィスでの生活に精神的なゆとりをもたらす効果があるといいます。
化粧品会社として有名な『日本メナード化粧品株式会社』が発表しているところによると、「唾液中のコルチゾール濃度はメイクアップ後に減少し、ストレスが軽減されたことがわかりました」と研究結果を伝えています。
賃貸契約の場合、執務スペースだけで判断してはいけない
一般的なオフィスビルを賃貸契約する場合、トイレ(化粧室)、給湯室の場所や基本的な設備を変更できないことが少なくありません。トイレは、最初からビルに設置されている共有スペースの一部で、借り主の意向で勝手にリフォーム工事などをすることは通常できないのです。設備面についても、後から変えるためにはオーナーの許可が必要になります。
だからこそ、前述のような「ストレスを感じさせないトイレ」の条件を意識して、入居する物件を選ばなければいけません。
また、オフィスのトイレは社員だけでなく、来客が利用することもあります。会議室や応接室からのアクセス、来客者に対して好印象を抱いてもらえるようなトイレかどうかといった点についても検討しておく必要があるでしょう。
まとめ
オフィスのトイレ(化粧室)は毎日をストレスなく過ごせるかどうかを左右します。特に女性はその傾向が高いのです。だからこそトイレの数はもちろんのこと、清潔さや位置などについても慎重に考えなければいけません。すでに契約している物件のリフォームを検討する場合は、ビルのオーナーなどに相談してみてください。
ユニオンテックのUT SPACEでは、綿密なヒアリングを通じてオフィスの現状、オフィスに対するご要望を踏まえた上で、オフィスデザインや空間全体の雰囲気に“御社の想い”を反映していきます。
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