雇われて病院に勤めている「勤務医」の方にとって、仕事量の調整や人間関係、治療方針の違いなどは大きな問題です。「独立開業」は、こうした問題を解決する方法の一つです。自分の医院を持つことのメリットや開業時のポイントについて考えてみましょう。
開業することのメリット
病院を開業することで得られるメリットには、大きく次の3点が挙げられます。
- 仕事量を選べる
営業時間は何時から何時なのか、休日はいつなのか、夏季や冬季の休暇をどのくらいとるのかなど、働き方を選ぶことができます。激務から解放されて自分の時間を大切にするのも、利用者のために遅くまで営業するのも自由です。 - 治療方針を自分で決められる
同じ医師であっても、どのような治療をしていくのかといった方針はそれぞれ異なるでしょう。勤務医の場合、勤務先の病院の方針に従わなければならない場面も多いでしょう。その点、開業医であればその病院における治療方針の決定権は自分にありますから、自分の理想とする治療が行えます。 - 収入が増加する
一般的に、開業医の収入は勤務医の収入を大きく上回ると言われています。働けば働いただけ収入になりますから、それだけやりがいも感じられるというものです。
ただし、開業医も良いことばかりではありません。自分が体調を崩してしまった場合なども、簡単に代理の先生を手配することはできません。「代わりがいない」ことは、大きなプレッシャーになります。
収入が安定しなかったり、思わぬ経費がかさんだりと、金銭面の問題が起こる可能性もあるでしょう。さらに、病院を経営して患者の病状やスタッフに対して責任を持たなければいけないという重圧もあります。
開業のために必要なこと
現実的に開業を目指す場合、まず最初に、医院のコンセプトを定めておく必要があります。
どのくらいの規模の医院にするのか、どこで開業するのか、スタッフは何人必要なのか、どのような治療を行っていくのかなど、事業計画の中心となるのがコンセプトです。
例えば、物件一つとっても、「医療ビル内に開業」、「独立店舗として開業」、「ビルのテナントとして開業」と3つの方法があります。それぞれには、内装の自由度やかかるコストの違い、契約内容の違いなどの違いがあります。
コンセプトを明確にして、ターゲット層やこだわりたいポイントを定めることで、いったいどのような物件を借りるのが良いかも見えてくるはずです。
どのような理念を持って病院を開業するのか、何を目的とするのか、じっくり考えてみてください。
開業コンサルタントに依頼する方法
医院を開業する際には、経営、内装、広告、会計など様々な手続きが必要となります。こうした手続きを、病気やケガの治療を専門とする医師がひとりで行うのは困難です。
そこでおすすめなのが、プロの開業コンサルタントに依頼するという方法です。
内装工事はデザイン会社、会計は税理士などがそれぞれ相談に乗ってくれますが、こちらの利益ではなく相手の利益を優先されてしまうことも懸念されます。
その点、開業コンサルタントであれば、利権のからまない第三者的な立場からサポートをしてもらえます。
開業コンサルタントの選び方
開業コンサルタントを選ぶときは、まず、コンサルティング実績が豊富かどうかについて調べましょう。実際に多くの病院の開業をサポートし、成功させてきたコンサルタントであれば信頼性も高いと考えられます。
コンサルティング会社全体ではなく、担当者の経験や実績、人柄についても見極めたほうが良いでしょう。
初めて自分の病院を持つ場合、開業後も何かと不安やトラブルが起こる可能性があります。開業コンサルタントを決めるときに、「開業時だけでなく、開業後もサポートを継続できる」タイプの相手を選んでおくと安心です。
まとめ
独立して自分の病院を構えるということは、自由と責任の両方を手にすることになるということです。メリットも大きいものの、専門外の多くの問題を解決しなければならないため、専門のコンサルタントを利用するのがおすすめです。