「ショップではエンドユーザーに非日常を感じてもらい、その空間にいることでより豊かに鮮やかに過ごしてもらうことが重要です。
そして、それらを考慮した上で、ショップ様が提供したい環境や表現したい世界観を形にすることが自分の仕事です。」
UT SPACE設計デザイン事業部・チーフデザイナー奥間大介は、ロケーションやクライアントのブランドを活かし、全体のバランスを意識しつつ、ひとつひとつのディテールを大事にした空間デザインを追求しています。
横浜駅地下街レストランゾーン「相鉄ジョイナス」にある和食店「鶏三和 横浜ジョイナス店」は、他テナント店と比べると「面積が小さい」「間口が広く、奥行きが狭い」といった問題点があり、デザインを通して競合店との差別化を図る必要がありました。 競合店との差別化を図るために考えたデザインの方向性は以下の通りです。
・「老舗」「伝統」という鶏三和のブランドイメージを表現する
・上記のブランドイメージに「新しさ」を取り入れることで、同じ鶏三和でも他店舗とは違う「横浜ジョイナス店」ならではのオリジナルテイストを出す
つい店の中に入りたくなるファサード
ファサードの内と外の境界線に鶏三和のロゴの一部である「六角形マーク」を取り入れ、外のお客様へのアピールとしました。
上品さを表現するために、六角形マークは間口の広さに対して主張しすぎないバランスの大きさにして、数も少数で配置。 そしてディテールを丁寧に再現することで、ショップのこだわりも表現しています。
また欄間を設けて、均等に格子組を入れることでバランスをとり、日本人の感覚に訴えかけるような繊細さを演出。
全体としては間口の広さを活かして、間延びしないようなバランスでシンプルにまとめた上で、装飾による陰影で影の濃淡をつけて”鶏三和らしい”空気感を出しました。
全体を白木で統一
「鶏三和」には白木を活かした店舗が多いため、従来の鶏三和とイメージを一致させるために壁、天井、テーブルなどの素材を白木でまとめ、シンプルかつ「和」を感じられるデザインにしています。
店内は白木とライトグレーの石目の2色を基本色とし、そこに椅子やソファの濃い色を取り入れてデザインのアクセントにしています。また椅子などの家具については「老舗」「伝統」ではなく「現代性」を演出するものを選定しました。
伝統あるデザインで老舗の風格を表現
日本の伝統を感じさせるデザインを使用。写真右の六角形マークは外から見て気付かなくても、店内に入って席に座ると見えて、また手で触れられる位置に配置することで、お店のこだわりを近くで見てもらえるようにしています。
鶏三和 横浜ジョイナス店
デザインテーマは『老舗の伝統ある風格に現代性も取り込んだ新しい姿』
「文久三年より続く養鶏産業の老舗」という、クライアントのブランドイメージをデザインで表現。
「老舗」「伝統」だけでは終わらない、他店舗とは違った「新しさ」が感じられるオリジナルテイストをデザインに取り入れています。